<以下において、点線で囲まれた基本骨格をR骨格という。>
このような化学物質に関する発明の出願において、従来は、産業上の利用分野が同一及び課題が同一であるとして、又は、産業上の利用分野及び主要部同一であるとして、単一性の要件を満たしていました(旧37条1号、2号)。
しかしながら、今回の改正により、本事例の場合には常に単一性の要件を満たすとは言えなくなりました。すなわち、本事例において単一性の要件を満たすためには、両化合物が「同一の又は対応する特別な技術的特徴」を有していることが必要となります。特に、R骨格が新規な基本骨格ではない、すなわちR骨格が公知である場合には、以下の2〜4に示すようにそのケースに応じて単一性の要件を満たす場合と満たさない場合がありますので、注意が必要です。
(単一性の要件を満たす場合)
1. R骨格が新規な基本骨格であると認められる場合
→両化合物は共通の新規な基本骨格を有しており、更に両化合物は除草性を有するという点で共通の性質又は活性を有していますので「同一の又は対応する特別な技術的特徴」を有していると言え、単一性の要件を満たします。
2. R骨格が公知である場合であっても、R骨格が除草性に寄与することは公知ではなく、R骨格にOH基又はNH2基を導入して化合物に除草性を付与するということに技術的な特徴があると認められる場合
→化合物に除草性を付与することが「同一の又は対応する特別な技術的特徴」に該当するため、単一性の要件を満たします。
3. R骨格が公知であり、更にR骨格が除草性に寄与することが公知である場合であっても、R骨格にOH基又はNH2基を導入して除草力が飛躍的に向上すると認められる場合
→化合物の除草力を向上させることが「同一の又は対応する特別な技術的特徴」に該当するため、単一性の要件を満たします。
(単一性の要件を満たさない場合)
4. R骨格が公知であり、更にR骨格が除草性に寄与することも公知である場合であって、R骨格にOH基を導入することで得られる効果が副作用の低減であり、一方R骨格にNH2基を導入することで得られる効果が除草力の向上にあると認められる場合
→OH基又はNH2基を導入することに「同一の又は対応する特別な技術的特徴」があるとは言えないため、単一性の要件を満たさないこととなります。
[まとめ]
今回の発明の単一性の要件の改訂により、単一性を満たすための要件は厳しくなり、従来は単一性が認められていたものであっても、改訂後においては単一性が認められない場合がありますので、注意が必要です。
〈参考文献〉
特許・実用新案審査基準
平成15年特許法等の一部改正 産業財産権法の解説 (発明協会)