長濱国際特許事務所
 
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「明細書、特許請求の範囲または図面の補正(新規事項)」の運用が改訂され、当初明細書等の記載から直接的かつ一義的に導き出せる事項でなくとも、当初明細書等の記載から自明な事項であれば補正が可能となりました。 このように運用の弾力化が図られたことにより、より適正な範囲で補正が可能となりました。

(2004年4月20日 宮川斉士)


補正の審査基準改訂について

[各論]

 従来、審査基準における補正の制限については、「当初明細書等の記載から直接的かつ一義的に導き出せる事項」の範囲内とされていました。
  かかる審査基準の下では、
・欧米に比べて運用が硬直的に過ぎる。
・運用が硬直的である結果、基幹的な特許の権利範囲が過度に小さくなる可能性を有する。
といった問題点がありました。
 この点、今回の改訂により、
・補正できる範囲が、従来「当初明細書等から直接的かつ一義的に導き出せる事項」となっていた点が、「当初明細書等の記載から自明な事項」と改訂されている。
・当初明細書等に記載された発明の具体例だけでなく、記載内容を総合的に考察することにより補正の適否が判断され、上位概念化、下位概念化を伴う補正に適切に対応可能となっている。
・補正の理由について、出願人が説明負担を負うことが明示された。
といった点が改訂されて前記問題点の是正が図られました。これにより、補正の制限の運用がより適切なものとなっています。また、出願人にとっては、無駄な拒絶理由を回避することが出来るため、審査の迅速化が図られることとなっています。
  このように、今回の改訂によって補正の制限が国際的に調和され、裁判所の実務とも整合することとなっています。

[具体的な考え方]
  ここで、「当初明細書から自明な事項」とは、当初明細書に記載が無くてもこれに接した当業者であれば、出願時の技術常識に照らして、その意味であることが明らかであって、その事項がそこに記載されているのと同様であると理解する事項をいいます。 この認定に際しては「明細書等」が基準となり、当業者を認定主体として判断することとなります。従って、当初明細書等の複数の記載(例えば、明細書の記載と図面の記載)に基づいて「自明な事項」と認定される場合もあります。 また、周知・慣用技術であっても、当該周知・慣用技術が、当初明細書等からみて「自明な事項」といえる場合に限り補正が認められることとなります。
  数値限定の例で補正の適否を検討すると、例えば、発明の詳細な説明中に「望ましくは 24 〜 25 ℃」との数値限定が明示的に記載されている場合には、 その数値限定は「当初明細書から自明な事項」 を請求項に導入することとなり補正が許されることとなります。一方、 24 ℃と25℃の実施例が記載されている場合おいては、 そのことをもって直ちに「 24 〜 25 ℃」の数値限定の補正が許されることにはなりません。しかしながら、当初明細書等の記載全体からみて 24 〜 25 ℃の特定の範囲について言及があったものと認められるような場合、 例えば、24 ℃と 25 ℃が、課題・効果等の記載からみて、ある連続的な数値範囲の上限・下限等の境界値として記載されていると認められるような場合には、 実施例のない場合と異なり、 数値限定の記載が当初からなされていたものと評価できるため、その数値限定は「当初明細書から自明な事項」に該当し 補正が許されることとなります。

[まとめ]
  今回の改訂により、「直接的かつ一義的に記載されている事項」に限られることなく、「自明な事項」にまで補正ができることとなったため、実務においては、より適切な範囲の発明に補正することが可能となり、基幹的な発明の適切な保護を図ることができるといえます。


〈参考文献〉
特許・実用新案審査基準

以上


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